オーストラリアに留学・滞在する予定の人向けに、オーストラリアのビザについて解説します。
オーストラリアのビザとは?
そもそも、ビザとは何なのでしょう。ビザは日本語では査証ともいいますが、簡単に言うと、自国以外の国から、その国に入国していいですよという許可になります。
海外旅行に行くときは、日本の場合、3ヶ月以内の滞在なら、ビザを取得する必要がないと決められた国々もありますが、それ以外は、原則、旅行前に、皆さんの滞在目的に応じたビザを取得する必要があります。
オーストラリアは、滞在の長さに関わらず、ビザを取得してから入国しなければならない国となりますので、短期旅行者は観光ビザと呼ばれるものを取得することとなります。少し面倒くさそうに思えますが、これは、無料で、インターネットから自分で申請することで3ヶ月滞在が許可されます。
旅行会社等で航空券を手配した場合、いくつかの会社は無料申請をしてくれ、また、安い金額でのビザ代行会社もあるようです。しかし、観光ビザは、その名の通り、観光のためのビザになりますから、残念ながらお仕事をすることは違法となります。 それでは、お仕事ができるビザって何なのでしょう?以下に、まとめてみました。
ワーキングホリデービザ
ワーキングホリデービザは、もともと、オーストラリアとワーキングホリデー協定のある国の人々がオーストラリアで学び、働き、旅をし、生活するために取ることのできるビザです。
18歳から31歳になる前の日本人の皆さんは、1年間のワーキングホリデービザを申請することができます。このビザでは、働くことが許されていますが、1雇用主において、6ヶ月までと決められています。ですから、1年の間に、最低2度、お仕事を変わる必要がでてきます。
ワーキングホリデービザは、通常1度しか発行されませんが、1度目のワーキングホリデー時に、オーストラリア政府によって決められた地方での特定のお仕事を最低3ヶ月間した人のみ、2度目のワーキングホリデービザを申請する権利が与えられます。地方のお仕事の例として、現在の移民法(2014年7月13日時点)では、農場、漁猟や工事現場、鉱山でのお仕事が含まれています。
ですが、現実問題、工事現場や鉱山でのお仕事は、その経験やオーストラリアでの資格が必要な場合が考えられますので、1番仕事が得やすいものは、果物や野菜の収穫等となり、オーストラリアでは、1年中需要があるといえます。ただ、セカンドワーキングホリデービザを目指す方は、どの地域の、どの仕事で、セカンドビザ申請ができるかどうか、注意して調べてから仕事に就くようにしましょう。
学生ビザ
学生ビザは、オーストラリア政府が認める学校に4ヶ月以上進学をするときに申請するビザです。
基本的に、滞在中は、フルタイムのコース(週25時間以上)を受講する必要がありますが、週20時間までの労働許可も与えられます。そして、学校が決めた休暇期間(例えば、1学期と2学期の間のお休み等)は、無制限で働くことができます。
しかし、学生ビザは、その名の通り学生として勉強することを目的としたビザですので、コースでの80%以上の出席と十分な成績を修めなければ、ビザが取り消されてしまい、オーストラリアに滞在することができなくなってしまいます。
ビジネスビザ(長期就労ビザ)Subclass 457
ビジネスビザは、オーストラリアの一企業がスポンサーとなって、最長4年間、その企業での決められた役職で働くことができるビザです。
日本で社会経験がある皆さんは、何とかこのビザをとってオーストラリアで働くことができないかと思われるかもしれません。しかし、実際ビジネスビザを取るためには、他のビザに比べると、様々な壁を越えなければいけません。
何故なら、ビジネスビザを取るには、皆さん個人の能力+スポンサーしてくれる企業があるかという他者が大きく関わってくるからです。今現在(2014年7月13日時点)の移民法に基づいていくつか考えうる壁を箇条書きにしてみます。
オーストラリアの企業側がビジネスビザを申請する時の壁
- 企業は、オーストラリア市民や永住権保持者の中からその役職につける人を探すことができない場合にのみ、このビザを申請することができる
- オーストラリア政府によって、役職や仕事内容が限られているため、その内容に合致した人選でなければ申請できない
- オーストラリア政府によって、雇った後の最低賃金(日本円で年間515万円程度-1ドル95円の場合)が決められているため、その賃金を払ってまでビジネスビザを申請しようと踏み切ることが難しい
- スポンサーするための費用、職業を指定するための費用は企業もち(約71000円―1ドル94円の場合)
候補者(皆さん)の壁
- その企業が求めている役職での経験の有無
- 原則、IELTSと呼ばれる英語のテストでそれぞれのスキル(スピーキング、ライティング、リスニング、リーディング)が“5.0”以上であること、もしくはOccupational English Test (OET) という職業用の英語のテストで“B”以上であること
つまり、ビジネスビザを得るためには、スポンサーしてもいいと言ってくれる企業との出会いと、皆さんの英語力、特定の仕事での経験という3本柱が必要となってくるのです。
企業との出会いの点は、皆さんのがんばりだけではなく“運”も関わってくる不確定な点ですが、少なくとも、ビジネスビザを目指すためには、どんな職種がビジネスビザ取得の対象にあたるのかを知り、そこで経験をつむことと、英語の強化をすること。これらが、皆さんご自身で準備できる要素となります。
パートナービザ
このビザはオーストラリア市民、オーストラリア永住権保持者、オーストラリアに住んでいるニュージーランド市民と結婚した人や、少なくとも12ヶ月間同棲している人、 申請後9ヶ月以内にパートナーと結婚する証拠がある人が申請できるビザになります。
このビザでは、仕事の時間や内容に拘束されることなく働くことができます。
なおこのビザは、取得後2年後に、パートナーのスポンサーのもと、永住権を申請することができますが、その2年間の間にパートナーとの関係が終わってしまった場合、パートナーがスポンサーとなることができなくなるため、そのパートナービザはキャンセルということになります。
卒業生ビザ
卒業生ビザとは、オーストラリアで教育を受け、卒業した留学生に対して、期間限定の滞在を許すビザです。
今現在(2014年7月13日時点)の移民法では、卒業生ビザはおおむね2つのタイプにわけられています。 1つは、Graduate Work Stream といい、政府が定めた技術職に関連したコースを終了したあとに申請できるビザです。例えば、オーストラリアの現法(2014年7月13日時点)では、看護婦や外科医等200近くの職業が技術職として認定されています。
これらの技術職は言わばオーストラリアに不足している職種とみなされていますので、この技術職に関連したコースを終えた人たちに、卒業後、オーストラリアに貢献する機会を与えるためのビザとなっているのです。期間は1年半で、この間は、時間の拘束なく、働くことができます。
もう1つは、Post-Study Work Stream で、2011年11月5日以降に初めて、オーストラリアの学士課程、修士課程、博士課程への申請が許可された留学生対象に、何を勉強したかに関わらず、そのコースを終了後、申請することができるビザです。期間は、どの課程を修了するかによります。学士や、通常のコースワークからなる修士課程なら2年、リサーチのための修士課程は3年、そして博士課程を卒業すると4年となります。
どちらも、申請のための年齢制限があり、50歳以下で、英語の能力が”Competent”以上であることが求められています。
ワンポイントアドバイス:英語能力
現在の移民法(2014年7月13日時点)において、英語能力は大きく3段階にわけられています。
先に述べました”Competent” は、その3段階で一番低く設定されています。では、一番低いとは、どの程度の能力のことなのでしょうか。ここでは皆さんが1番取り組みやすいIELTS(アイエルツ)という試験に焦点を当ててそのレベルをご説明したいと思います。
IELTS (International English Language Testing System) は、主にオーストラリアやイギリスに留学する時に、大学が、個人の英語の能力を図るための目安にしている試験です。この試験は、アカデミック、ジェネラルという2つのモジュールに分かれていて、受験者が用途に合わせて、選ぶことができます。例えば、アカデミックモジュールは、オーストラリアの大学に申請するとき、ジェネラルモジュールは、永住権を申請するときとなります。
そして両モジュールとも、全てのスキル(リスニング、ライティング、スピーキング、リーディング)の試験となり、1.0から9.0のバンドスコアで採点されます。以下に、日本英語検定協会が紹介しているIELTSのバンドと採点方法を載せています。
バンド | 英語の能力 |
9.0Expert Userエキスパート ユーザー | 十分に英語を駆使する能力を有している。適切、正確かつ流暢で、完全な理解力もある。 |
8.0Very Good User非常に優秀なユーザー | 時折、非体系的な不正確さや不適切さがみられるものの、十分に英語を駆使する能力を有している。慣れない状況においては、誤解が生ずることもありえる。込み入った議論に、うまく対応できる。 |
7.0Good User優秀なユーザー | 時折、不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を駆使する能力を有している。複雑な言語も概して上手く扱っており、詳細な論理を理解している。 |
6.0Competent User有能なユーザー | 不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる。 |
5.0Modest User中程度のユーザー | 部分的に英語を駆使する能力を有しており、大概の状況において全体的な意味をつかむことができる。ただし、多くの間違いを犯すことも予想される。自分自身に関係のある分野においては、基本的なコミュニケーションを行うことができる。 |
4.0Limited User限定的ユーザー | 慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言語は使用できない。 |
3.0Extremely Limited User非常に限定的なユーザー | 非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。コミュニケーションが頻繁に途絶える。 |
2.0Intermittent User一時的なユーザー | 確実なコミュニケーションを行うことは不可能。慣れた状況下でその場の必要性に対処するため、きわめて基本的な情報を単語の羅列や短い定型句を用いて伝えることしかできない。英語による会話、および文章を理解するのに非常に苦労する。 |
1.0Non-User非ユーザー | いくつかの単語を羅列して用いることしかできず、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
IELTSではまず、それぞれのスキルがバンドによって採点され、そしてオーバーオールのバンドスコアが与えられます。例えば、リスニング6.0、リーディング5.5、ライティング5.0、スピーキング5.5で、オーバーオールが5.5というような形です。 コースや大学により違いがあるものの、多くの大学で、それぞれのスキルと、オーバーオール、6.0から6.5が最低の入学基準となっています。
ここから、英語能力が最低”Competent”であるとは、IELTSにおいて、バンドが6.0以上であることなのです。これはオーバーオールのスコアだけではなく、4つのスキル全てにおいてでありますから、スピーキング、リーディング、リスニングが6.5で、ライティングのみ5.5の場合でも、ライティングが6.0以下ですので、この条件に当てはまらなくなります。
IELTSは日本では東京や大阪等を含む全国15箇所で受けることができます。一度の受験料が25380円と他のTOEICやTOEFL等と比べると高いのですが、何度か受けることによって傾向を知ることができますし、IELTS対策の講座や過去問の販売等もありますので、これらを使って対策を練ることによって、高いバンドを狙えるようになります。
ちなみに、TOEICやTOEFLの試験の結果は、オーストラリアのビザ申請時には使うことはできませんのでご注意ください。
永住権
永住権にはいくつかの種類があり、その主なものに、パートナービザ取得後、2年後に申請できるパーマネントパートナービザ、ビジネスビザ取得後2年後に、もしくはオーストラリアで働いたことのない人でも、その特定の仕事の経験と必要な資格等を持ち、オーストラリアの企業よりスポンサーされた場合に申請することができる雇用主指名ビザ、そして、皆さん自身の特別な技能、技術を使って申請する技術独立移住のビザがあります。
永住ビザがオーストラリアにて就職する上で可能性を高める事は間違いないですが、上記ご紹介しました卒業生ビザ等もその方次第ではまだまだ十分就職できる可能性もありますので永住ビザでなくとも目指す価値はあるかと思います。
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