英語教師の資格、TESOLとは?
TESOLとはTeaching of English to Speakers of Other Languagesの略で、シンプルに言うと英語を英語で教える資格・学問のこと。名前は似ていますが、英語力を証明する資格として有名なTOEIC、TOEFLとは全く異なるものです。TESOLで教える対象となるのは英語を母語としない成人で、非英語圏で暮らす人や英語圏へ留学・移住する人などになります。
どんな人向け?
TESOLを学ぶ人は中学、高校、塾、英会話学校、英語幼稚園の教師・教員や英語教材の開発者などが中心です。
しかし中には英語教育や学校とは直接関わらなくても、高い英語力を身に付けたい方や、会社内で英語を教えるために必要という方もいます。
TESOLを取得するとできること
TESOLは世界的に認められている資格で、オーストラリアでは国家資格として認められています。卒業後は海外で英語を教えることができたり、国内ではその資格が評価されて英会話教室や学校での就職に活かせたりとその認知度は広いです。
卒業後の進路として一番多いのは、日本に戻って英語教師になるパターン。他にはオーストラリアに残って教師になる人もおり、大学でインターンシップを終えた後にその大学のTESOLコースで働くというパターンもあります。
日本の英語教授法と比べて、TESOLはアウトプットを重要視しており、学習者の主体性を大切にしています。グローバルスタンダードな英語教育を知ることで、幅広い視点から英語を教えることができます。
TESOLの学習内容
学校やコースによって学習内容は違いますが、学ぶ具体的な内容は以下のようなものです。
・英単語、英文法、発音の教授法
・英語のリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの教授法
・授業の作り方、教材の見つけ方、テストの作り方
・プレゼンテーション法
・英語の成り立ち、世界各国の英語文化など
・インターンシップ(教育実習)
英語を教える方法はもちろん、教師として必要な知識や教育実習なども組み込まれていることが多いです。インターンシップでは、スーパーバイザーがついてくれて指導してもらえるので、レッスンプランやレッスンのアレンジ法などこと細かに教えてくれます。
TESOLの需要とやりがい
国際化が進む現在、TESOL教師の需要は爆発的に増えています。英語は最も広く使われている言語の一つであり、国を超えたビジネス、貿易、研究、化学、最先端技術やITといった主要な分野でも使用されています。
そのため、非英語圏の人は英語を習得することで仕事や教育のチャンスが広がり、国内や海外でより良いキャリアを築くことが可能です。
アジア、ヨーロッパ、南米、中東などの非英語圏のほぼ全域では、英語ネイティブや英語の話せる人が求められており、それにつれて英語を教えられる人材の需要も増えているという状況です。
さらに英語を教えることは非常にやりがいのある仕事でもあります。誰かに新たな言語を教えることで、その人は他国で活躍したり、刺激的な文化を学んだり、新しい人と会ったりすることが可能になります。
その人の人生をより豊かにしたり、ライフスタイルを変えることもできるというのは、貴重な経験ではないでしょうか。
オーストラリアでTESOLを学ぶメリット
世界的にも有数の移民大国であるオーストラリア。英語を母国語としない人を歴史的にも受け入れてきた実績があり、そのような移民向けの英語教育を発展させた形のTESOL教育が非常に盛んです。
国内の英語教育の需要から必然的にTESOL教育のレベルが上がり、それが評判となって世界中から留学生が集まるという流れができ、質量共にトップレベルのTESOL教育を誇ります。
さらにオーストラリアは英語環境なので、学校の外でも英語力を使う機会がたくさんあり、カジュアルに使われている英語も学ぶことができます。
カリキュラムには、実際に現地の語学学校での教育実習がインターンシップとしてあることが多いです。世界各国から来た英語学習者に授業することで、日本人以外に英語を教えるという貴重な経験を積むことができます。
TESOL資格の種類
一口にTESOLといっても、取得できる資格は学位によって異なります。オーストラリアでTESOLコースを提供している学校には語学学校、専門学校、TAFE、大学があります。学位は一番最短で簡単に取得できるCertificate4、一番時間がかかり取得が難しいMasterなど様々あります。
短期で取得ができるCertificateはワーキングホリデービザから取ることもできるため、ただオーストラリアに行くのではなく、何か資格を取得して帰りたいという方にもぴったりです。
しかし現在、正式にTESOL保持者として認められているのはMasterのみ。その他の資格は国際的には英語の教授法資格としては受け入れられていないことが多いです。
もちろん、その他の学位を卒業した場合は修了証明書がもらえ、学んだことはアピールになるので、無駄になるということはありません。しかし国家資格をとりたい、世界で通用する英語教授資格が欲しいという方はMasterまで行く必要があるという点にご注意ください。
難易度や入学条件
TESOLは英語を教える方法を学ぶというコースのため、中級ー上級レベルの高い英語力をもつ人向けとなっています。コースや学校によって基準は違いますが、具体的には大学ならIELTS 6.5以上、語学学校、専門学校、TAFEなどで学ぶ場合はIELTS5.5以上の英語力が最低条件です。
英語力が足りないという方は、語学学校に通ってからTESOLを学ぶという手もあります。
実際にTESOLを学んだ学生の体験談
オーストラリアの大学院でTESOLを学んでみて、一番感じたのは自主的に学ぶ姿勢が必要ということです。授業では教授が一方的に喋る講義スタイルではなく、生徒が中心で発言していくことに文化の違いを感じました。また、英語が母国語ではない教授が半分ほどいることにも驚きました。
TESOLを学んで英語教師になりたい方には、個人的には2年のマスターコースをおすすめします。1年学ぶとしても長期のホリデー期間があるため、TESOLの実践的なスキルを身に着けるには時間が足りないと思うからです。
とはいえ、オーストラリアで2年留学するにはお金も費用も時間もたくさんかかります。それよりだったら、早く教師として働いて実践経験を積んだほうがいいと考え直す方もいるかもしれません。後悔しないよう、学んだ先に何があるのかを考えてコース選びをするのがいいでしょう。
TESOLコースへの進学をすでに決めている方は、入学前に英語の勉強を徹底して行ったほうがいいです。TESOLでは英語を使って英語を教える方法を学ぶため、他の学科よりも求められる英語力の基準が高く、特に課題では文法や単語の使い方などを細かくチェックされます。私自身課題でとても苦労した経験があるので、英語の正確性を上げておくのは大事だと痛感しました。
TESOLを学べるコース
各学校の要件、学費、入学時期などの細かい情報につきましては、メールやLINEでお問い合わせいたけましたら最新の情報をお伝えします。ここで取り上げたTESOLを学べる学校は一部ですので、他の学校について気になる方もお気軽にご連絡ください。
大学
キャンベラ大学 | Graduate Certificate in TESOL |
シドニー工科大学 | Graduate Diploma in Language Teaching-TESOL / Master of Education in TESOL |
マッコーリ大学 | Bachelor of Education(TESOL) / Postgraduate Certificate in TESOL |
ラトローブ大学 | Graduate Diploma in TESOL |
ウエスタンオーストラリア大学 | Bachelor of Education-TESOL |
ウーロンゴン大学 | Graduate Certificate in TESOL/Graduate Diploma in TESOL/Master of Education (TESOL) |
クイーンズランド大学 | Master of Applied Linguistics-TESOL |
語学学校・専門学校・TAFE
TAFE SA | Certificate IV in TESOL |
IHシドニー(語学学校) | IH Sydney TESOL(IH認定の8週間のコース)/Certificate IV in TESOL |
KOI(専門学校) | Master of Arts/Graduate Certificate of TESOL/Graduate Diploma of TESOL |