オーストラリアの幼稚園教諭とは
幼稚園教諭とは、幼児を教育する仕事。幼児が心身ともに健やかでいられる環境を作り、成長を促すという役割があります。
日本でもオーストラリアでも、幼稚園は小・中学校と同じ「学校」という扱いです。教科書は使いませんが、遊びや日々の生活の活動を通して、子供の個性、感性、創造性、身体能力などを高めます。
日本と異なる点は、幼稚園教諭に求められる資格です。日本で働いているほとんどの幼稚園教諭は短大や専門学校卒。一方で、オーストラリアの幼稚園はより「学校」としての役割が大きく、幼稚園教諭になるには大学卒業以上の資格が必要です。
チャイルドケアワーカーと幼稚園教諭の違い
チャイルドケアワーカー、保育士、幼稚園教諭・・という用語を聞くと、どう違うのか分からなくなってしまいますよね。
まずチャイルドケアワーカーは保育所(チャイルドケアセンター)で働く職業のことで、日本語での保育士と同じ意味です。
チャイルドケアワーカーと幼稚園教諭の違いをまとめると以下になります。
チャイルドケアワーカー | 幼稚園教諭 | |
必要な資格 | Certificate III〜Diploma | 大学の学士(Bachelor) |
平均年収 | $55,193/年 | $79,353/年 |
仕事内容 | 幼児の保育 | 幼児の教育 |
職業名 | ・Early Childhood Educator ・Childcare workers | ・Early Childhood Teacher |
保育と教育という仕事内容の違いから、幼稚園教諭のほうがより高いスキルを求められ、待遇もいい仕事ということが分かります。
チャイルドケアワーカーとして働くには最低Certificate III(6-12ヶ月のコース)が必要です。そしてチャイルドケアワーカーの中でもリーダーやマネージャーになるにはDiploma(18ヶ月)が必要となります。
しかし幼稚園教諭になるには、最低大学の学士(3-4年)が必要となるので、チャイルドケアワーカーよりも経済的、時間的に負担がかかります。
そのため、幼稚園教諭よりはチャイルドケアワーカーを目指す日本人留学生のほうが多いです。
幼稚園教諭に向いている人は?
幼児教諭に欠かせないのは、幼児と関わるのが好きで、成長を助けたいという気持ちを持つこと。
幼児は予想外の行動やルールを守らない行動をすることもあります。幼児が成長するまでは、同じことを注意しなければいけなかったり、意図が伝わらなかったりとストレスを感じることもあるでしょう。
そのため、子供の目線に立って、どのように接すればいいのかを考えたり、一人一人の性格や発達をよく知る必要があります。
特にオーストラリアは移民が多く、幼稚園にも様々なバックグラウンドを持つ幼児がいます。様々な言語や文化を持つ子供たちがいるので、幼児にとってはグローバルな社会で生きていくための練習場とも言えるでしょう。
また、幼稚園教諭は幼児だけではなく、その保護者とも良い関係を築く必要があります。安心して子供を任せてもらえるよう、保護者とのコミュニケーションを通して信頼を得ることが大切です。
- 子供と関わることが好き
- 忍耐力が強い
- 体力がある
- 誰かに優しく教えるのが得意
- コミュニケーション力がある
- 思いやりがあり、感情を読み取ることができる
- 責任感がある
- 問題が起きたときの判断力がある
- チームワークを大切にできる
- 他社を理解する姿勢をもつ
オーストラリアで幼稚園教諭になるには
オーストラリアで幼稚園教諭になるには、、Australian Children's Education and Care Quality Authorityによって認められた4年制の学士号(または大学院資格)を取得する必要があります。該当の学位の例としては以下があります。
- Bachelor of Teaching (Early Childhood Education)
- Bachelor of Education (Early Childhood)
- Master of Teaching (Birth to Five Years)
- Master of Education (Early Childhood)
学位に加えて、働く際には犯罪歴のチェックや予防接種、応急処置と心肺蘇生法の知識などが必要となります。加えて州によっては追加の条件もあります。
具体的な仕事内容
- 社会とのつながり、協調性、運動能力を高めるさまざまな体験やアクティビティを提供する。
- 絵本の読み聞かせ、歌、非公式な話し合いなどを通して、言葉の発達を促進する。
- 子どもの発達をサポートするために、学習環境を整える。
- 生徒の成長を評価し、体調不良や情緒障害の兆候を発見する。
- 生徒の進歩について話し合うために、保護者の面談に参加する。
平均給料
オーストラリアの大手求人サイト、talent.comによると、2023年の幼稚園教諭の平均年収は$79,353です。
エントリーレベルのポジションだと$71,233、経験豊富なベテランレベルだと$92,813になるようです。
※takent.comに掲載されているオーストラリアの求人756件を調査した結果
需要と将来性
オーストラリアは共働きの家庭が多く、幼稚園や保育施設などを利用する人が多いです。
しかし幼稚園数やそこで働く人材は不足しており、オーストラリア統計局のデータによると、幼児教育をカバーする教育・訓練セクターの欠員率は、昨年11月、パンデミック開始時と比べて43.4%上昇したようです。
政府は幼稚園数を増やしたり、幼稚園教師を目指す学生をサポートしたりといった取り組みが行われています。加えて、幼稚園教諭は永住権取得の可能性がある職業でもあるので、移民で人材不足を補おうとしていることも分かりますね。
学校で勉強する内容
スウィンバン大学
- カリキュラムを立案する。生徒の興味を引き、能力を開発するための学習活動を作成する。
- 子どもの行動 子どもたちがさまざまな行動をとる理由を理解し、子どもたちに最適なアプローチ方法を学ぶ。
- 健康と活動 子どもの健康、栄養、安全に関するさまざまな問題を探求する。
- 21世紀型ティーチング:変化の激しい時代における教師としての役割を理解する。
ジェームズクック大学
- 教育学士号(幼児教育学)を取得し、出生から8歳までの早期学習者の教育に関する専門知識
- 児童心理学の理解を深め、読み書き、計算、技術、人文科学などの学習を促進する能力
- 早期学習者をサポートし、関与させ、励ますための高度なコミュニケーションスキル
幼稚園教諭のおすすめコース
「幼稚園教諭のコースに興味はあるけど、大学の学士は高すぎる・・」と考えている方におすすめなのが、TAFE NSWのBachelor of Early Childhood Education And Careコース。
このコースは4年で$56,000と、通常の大学の半額ほどの学費となっています。TAFEで取得した学位でも、大学で取得した学位でも同じ扱いが受けられるので、現地で就職したいと考えている人にもおすすめです。
さらに教育実習制度も充実しており、4年間で840時間の実習がカリキュラムに組み込まれています。